この記事の要点まとめ(3行)
- 今回の粉ミルクリコールは、特定ロットに限定した予防的措置です
- 該当製品と健康被害との因果関係は現在も公式に調査中です
- 対象ロットでなければ、現時点で使用を中止する必要はありません
はじめに
ヨーロッパで子育て中で、粉ミルクを使っている方は
今回のリコールのニュースに不安を感じていると思います。
海外での情報収集は言語を筆頭に本当にハードルが高い…。
ましてや育児しながら色々調べることは無理に近いと思います。なので私も色々調べて見ました。
不安を煽ることを目的とせず、公式機関が公表している事実と、確認すべきリソースのみをまとめています。
結論(最初にお伝えしたいこと)
現時点(2026/02/03)で分かっている事実は、以下の3点です。
- 今回の自主回収は、
影響が広がらないようにするための予防的な措置です - 該当製品と健康被害との因果関係は現在も調査中です
- 該当製品は、ヨーロッパ全体に流通している製品の一部です
何が起きているのか
欧州食品安全機関(EFSA)は、乳児用栄養製品の一部から、
細菌由来の毒素「セレウリド(cereulide)」が検出された事例があったことを受け、
世界規模で予防的な製品回収が実施されていると報告しています。
なぜ自主回収につながったのか
今回の回収は、
- 一部の製品・原材料から
セレウリドという毒素を産生する可能性のある
バチルス・セレウス(Bacillus cereus)関連の事例が確認されたこと - それを受けて、
欧州当局が安全基準の見直し・厳格化を進めていること
を背景にしています。
これらを踏まえ、
各国当局の判断や最新のガイダンスに従い、
特定ロットのみが回収対象となっています。
セレウリドという毒素を摂取するとどうなるのか
※以下は、一般的に報告されている症状であり、
今回のリコール製品で必ず起きたと確定しているわけではありません。
- 急な吐き気・嘔吐
(摂取後30分〜6時間以内に起こることが多いとされています) - 腹痛や下痢
- 多くの場合、症状は24時間以内に自然に治まるとされています
この毒素は、
「嘔吐型毒素」と呼ばれることがあります。
実際の健康被害の報告について
ここには、2つの情報の流れがあります。
報告されている症状例・調査
- 一部の国で、
乳児が嘔吐・下痢・入院した事例があると報じられています - EUの保健機関(ECDC)にも、
乳児の消化器症状に関する報告が寄せられているとされています
これらは、関連が疑われて調査中のケースです。
公式見解について
- 現時点で、
リコール対象製品が原因で深刻な病気や死亡が確定した
という科学的結論を、
EFSAやECDCなどの公的機関は発表していません - フランスで
「2人の乳児死亡が調査対象になっている」という報道はありますが、
粉ミルクとの因果関係は科学的に確定していません
「症状が報告されている」ことと
「原因が確定している」ことは、
現時点では分けて考える必要があります。
対象ロットでなかった場合、今すぐ何もしなくていい理由
今回のリコールは、
特定のメーカー・特定の製造ロットに限定した措置です。
ヨーロッパでは、食品の安全性に問題が疑われた場合でも、
- どの製造ロットか
- どの原材料・製造工程に関係するか
を特定したうえで、
影響が及ぶ可能性のある範囲だけを回収する
という対応が取られます。
そのため、
手元の製品が対象ロットに該当しない場合は、
現時点で使用を中止したり、処分したりする必要はありません。
なぜ国ごとに対応が違うのか
今回のリコールで、「国によって情報や対応が違う」と感じた方も多いと思います。
これは、EUと各国で役割が分かれているためです。
EUの役割
- 欧州食品安全機関(EFSA)が
科学的なリスク評価を行う - 各国が判断するための
共通の科学的基盤を示す
各国の役割
- 自国内で流通している製品を把握する
- 回収対象となる製品・ロットを判断する
- 国民向けにリコール情報を公表する
つまり、
EUは評価と指針、
各国は回収と実務対応
を担っています。
「ゼロトレランス」と「基準値」の違い
今回の件で多い誤解のひとつが、
「ゼロトレランスで管理していたはずなのに、なぜ流通したのか?」
という疑問です。
ゼロトレランス
- 検出されたら即アウトという考え方
- 主に、明確に禁止されている物質や病原体に使われます
基準値
- この量以下であれば、健康リスクが極めて低い
と科学的に評価された数値 - 測定方法や検出限界を前提に運用されます
セレウリドについては、
乳児用粉ミルクに対するEU共通の数値基準が
事前には明確に定められていませんでした。
そのため、
検出事例を受けて初めて、
EFSAが安全指標を示す流れになっています。
主なリコール対象メーカー・ブランド
※対象は特定のロット(製造番号)のみです。
Nestlé(ネスレ)
BEBA、NAN(NAN Evolia 1、NAN EXPERTPRO AR/Complete/Sans lactose、
NAN SINERGITY 2、NAN OPTIPRO 1 など)、
Alfamino、Little Steps 1、PreNAN Stage 1 & 2
Danone(ダノン)
Aptamil(アプタミル)、Nutrilon(ニュトリロン)
(特定製品のみ)
▶︎ https://www.danone.com/newsroom/press-releases/recall-specific-infant-formula-batches.html
その他
BABYBIO / Vitagermine、BLEDINA、LABORATOIRE GALLIA、Popote、LA MARQUE EN MOINS など
各国の公式情報(必ず確認してください)
🇩🇪 ドイツ
https://www.lebensmittelwarnung.de
🇫🇷 フランス
https://rappel.conso.gouv.fr
🇧🇪 ベルギー
https://www.favv-afsca.be/consumer
リコール対象だった場合の対応
1)使用を中止
該当ロットの場合は、開封・未開封に関わらず使用を中止してください。
2)体調を観察
使用していたからといって、必ず問題が起きるわけではありません。
3)症状があれば受診
嘔吐・下痢など、いつもと違う様子があれば医療機関へ。
対象ロットを使用していた事実を伝えてください。
返金・交換
購入店またはメーカーに相談してください。
レシートがなくても対応される場合があります。
最後に
粉ミルクを使っている方にとって、
今回の一連のニュースはとてもショックなものだったと思います。
「該当メーカーを使っているかもしれないと思っただけで、居ても立ってもいられなかった」
そんな声も実際に届いています。
母国語ではない言語で情報を集め、
制度も医療も日本とは違う環境で子育てをしていると、
正確な情報を探すだけでも大きな負担になりますよね。
この記事が、
- 今回の状況を整理する助けになり
- 該当していなかった方の不安が少しでも和らぎ
- 必要なときに、また戻ってこられる場所
になれば嬉しく思います。
海外で子育てをしているママたちが、
一人で抱え込まずに済みますように。
更新履歴(Update)
- 2026/02/03:初版公開
欧州食品安全機関(EFSA)および各国公式発表を基に作成
※新たな公式発表があり次第、追記・更新します。