ドイツ在住の日本人ママたちへ:家庭内暴力からの保護と支援

ドイツに帯同してきた奥さんのスマホのSIMカードと在留カードを取り上げた上、ドイツ語を話せない彼女を家から追い出したという日本からの駐在員に関する投稿を私のインスタのストーリーズでシェアしたら、ものすごい反響で正直びっくり。

似たような目にあった方から、今現在同じように怯えている方、色々あってついにたまりかねて家を飛びでたばかりの方、実際に支援を受けた方、支援の手を差し伸べた方に、そして今回の件で何かできないかと手を差し伸べてくれる方。本当にたくさんのメッセージをいただきました。

表面化していないだけで、もしかしたら今現在もお隣さんが同じ目に遭っているかもしれないし、明日は我が身かもしれない。特に家庭内暴力やモラハラ(モラルハラスメント)のような状況は、ただでさえどう対処したらいいか難しいのに、そこに言語の壁や文化の違いが加わるとますます迷うことがあると思います。

そこでドイツ在住の日本人ママたちが知っておくべき支援情報をご紹介します。

知っておきたいドイツの支援機関

女性保護施設「Frauenhaus」

Frauenhaus と呼ばれる女性や子連れ女性を保護してくれるシェルター。
Frauenhaus-SucheFrauenhauskoordinierung では、ドイツ国内のシェルターの空室状況を確認できる。
英語対応や、通訳を手配してくれる場合もあるので、言葉に自信がなくてもとりあえず連絡してみて。近年は需要が急増しており、空きを見つけるのは難しい場合もある。

24時間年中無休で相談できるホットライン

Gewalt gegen Frauenと呼ばれる24時間365日、匿名かつ無料で相談に乗ってくれるホットラインです。
英語や中国語など18言語で相談可能な上、易しいドイツ語で書かれたサイトもあり、多言語展開されている。
短縮番号: 116 016

 日本語対応の相談室

在独日本人女性が安心して日本語で相談ができる相談室として、2021年1月に在デュッセルドルフ日本国総領事館とデュッセルドルフ女性相談センター(frauenberatungsstelle düsseldorf e.V.)の提携により設立された「Chance」があります。
日本人相談員が週3日、日本語で相談に応じてくれます。
連絡先: 0170 – 6570130(水14:00-18:00、木・金10:00-14:00)

ドイツの警察

少々ハードルが高いと感じるかもしれませんが、危険な状況に面しているときは迷わず110をしてください。また、被害を警察に相談することも可能です。ドイツの警察は、日本語対応可能な警官や通訳者名簿を持っています。最寄りの警察署で初めて相談する際、Google翻訳を使用して内容を伝え、その後日本語対応してくれる警官を探してもらうことができます。これは家庭内暴力だけでなく、その他の犯罪に巻き込まれた時も同じです。

Jugendamtによる支援

ドイツでは、「子どもの権利」が厳しく守られており、Jugendamt(児童福祉局)は暴力の証明がなくても迅速に対応してくれる場合が多いそうです。モラハラを日常的に目の当たりにしている状況などを「子どもが健やかな環境にいない」とJugendamtが判断した場合、即座に介入します。

子どもの通う園と学校

Jugendamtとの連携によりますが、実際のケースとして、ドイツ語ほぼゼロのママさんとそのお子さんの通う学校からJugendamtに連絡が行き、そのままママと子はシェルターへ、警察に付き添われてママだけ家に荷物を取りに行き、旦那さんと接触することなく家を出られたそうです。園や学校も助けを求められる場所として覚えておいてください。

ここは気をつけて!

証拠としての動画撮影や録画について

ドイツでは、プライバシー保護の観点から、動画撮影や録画を証拠として使用することはあまりおすすめできません。特に、相手の同意なしに私的な状況を録画することは、新たな法的な問題を引き起こす可能性があるそうです。家庭内暴力やモラハラの証拠を収集する際には、専門家の助言を求めることが重要です。

子どもを連れて日本に避難する際の注意点

ドイツもハーグ条約に加盟しているので、両親二人の同意がないと出国できない場合があります。ADACから出ている渡航同意書のフォーマットをここに置いておきますね。

母親とだけ渡航する場合の渡航同意書

渡航同意書の用意が困難な場合は事前に、上記の機関に相談しておくことをおすすめします。

最後に

ドイツ在住の日本人ママたちが直面するかもしれない困難は、決して一人で抱え込まず、適切な支援を求めることが大切です。上記の情報が、家庭内暴力やその他の困難から自分自身と子どもを守るための一歩となることを願っています。あなたは一人じゃないよ。支援を求めていいんだよ。

ドイツの各種支援機関は、言語の壁や文化の違いを乗り越え、必要なサポートを提供するために存在しています。今日紹介した情報が、誰かの力となり、安全で健やかな生活への道を照らす光となることを心から願っています。